小児の心疾患は先天的な心臓の奇形(心奇形)、後天的に発症する疾患に大別される。 不整脈は先天的、後天的どちらもありうる。
成人に認める狭心症、心筋梗塞は稀に存在する。川崎病後遺症の冠動脈瘤による心筋梗塞は重要である。
心奇形
発生率は約1%である。
出生時からチアノーゼを発症するチアノーゼ型心奇形と発症しない非チアノーゼ型に分けられる。チアノーゼの発症原理としては、全身から心臓に還流した酸素飽和度の低い血液が奇形の為肺を経由せずそのまま全身へ駆出される(右左シャント)ことにより生じる。
症状としてはチアノーゼ、心雑音により発見されることが多い。確定は心臓エコー検査と心臓カテーテル検査(造影検査)により行われる。成人の心疾患とはまったく異なるため、複雑な心奇形は小児科のさらに心臓を専門とした小児循環器専門医により診断・治療へとつながれることが多い。
治療は軽症例では内服薬にて一部の症状は軽減することができるものの、複雑例、重症例はほとんどが手術により治療される。
以下に心奇形の分類を示す。これらを複数合併することもしばしば認める。
心室中隔欠損症がもっとも多い。その他には心房中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四徴症、心内膜床欠損、左心低形成、完全大血管転位、修正大血管転位、両大血管右室起始、総肺静脈還流異常症、エブスタイン奇形、肺動脈弁欠損、無脾・多脾症候群、総動脈管遺残、右室二腔症、僧帽弁逸脱症、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁下狭窄、大動脈弁閉鎖不全、肺動脈狭窄、末梢性肺動脈狭窄、大動脈縮索症などが挙げられる。 複数の心奇形を合併することも多い。
後天的に発症する疾患は
肥大型心筋症、拡張型心筋症、心筋炎、心タンポナーデ、川崎病後遺症による冠動脈瘤、孤立性心筋緻密化障害などが挙げられる。
不整脈は
上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心室頻拍、心室細動など成人にも発症しやすいものもあり、先天的な要因が大きい疾患としてQT延長症候群、Brugada症候群、WPW症候群などが存在する。
- 心筋炎
小児の心筋炎は無症候性のものから急激にショックに至るものまで幅広く存在する。上気道炎や消化器症状など先行感染症状を認める場合が多い。劇症型心筋炎は時間単位の治療経過によって、予後が大きく異なるため細菌性髄膜炎や急性喉頭蓋炎と同様に小児緊急疾患である。体温の上昇だけでは説明ができない頻脈や伝導障害による不整脈があらわれることがある。特に心電図異常が指摘されたことがないにも関わらず、失神によって循環器異常を疑われ、不整脈が見つかったら場合は特に心筋炎を考える。急激な悪化を認めることがあるため、三次医療施設での治療が望ましいとされている。
