新生児、乳児に関しては軟便が正常となるため下痢と訴えられても、親の判断から疑う必要がある。そのため下痢が主訴の場合はおむつの持参を支持し、便の性状を自ら確認するべきである。新生児や乳児の便の特徴として、栄養の吸収が活発であるということ、腸の粘膜の機能が未発達であるため腸液や胆汁などの分泌が多い、そのため食べたものがそのまま出ることがある。また排便のリズムは学童期までに確立するものであるため、初期は一日の排便数が多い。生後数カ月経過すると一日の排便の回数は減少してくる。逆に学童以上で頻回の排便や腹痛を伴う場合は過敏性腸症候群の可能性がある。
新生児から乳児の正常な便について述べる。正常は柔らかく形がないことが多い。母乳栄養の場合は月齢が低いほど便は柔らかめとなり、やや酸味を帯びた臭いがある。おむつにしみ込むような便となるのが特徴的である。ミルク栄養の場合は硬さは様々となり、通常は母乳便よりも色が濃くなる。病的な便ではおむつにしみ込むような便であるが、血液が混じるなどいつもの便とは明らかに異なることが多い。一日7~8回の排便、即ち2~3時間毎の排便が認められたら病的である。典型的な異常便は真っ白か真っ赤である。白色便は冬場から春先に多いロタウイルスによる感染症や先天性胆道閉鎖症で考えられる。赤色便としては腸重積のイチゴゼリー状の便や細菌性腸炎のスポット状の出血などが有名である。しかし、頻度してはトマトやスイカの残渣が最も多い。固形の便が確立された後は成人と同様の対処で十分である。 下痢は急性胃腸炎によるものが多い。下痢がいつから始まったのか、回数、状態、においといった下痢の性状はどのようなものか。食事(焼き肉、中華といった油もので起りやすい)、飲み物(イオン飲料水でも起りやすい)など下痢をする心あたりがあるのか、発熱、吐き気、嘔吐、意識障害、体重減少といった下痢以外の症状があるのか、周りに同様の症状があるのかといったことが重要になってくる。体重の減少は脱水の程度として非常に重要となる。2~3%の体重減少ならば外来で治療可能であるが6%以上であれば入院が必要となる。7%以上ならば高度脱水であり重篤な状態である。外来で治療可能な軽度脱水に関しては輸液で対処することが多い。より詳細な内容は輸液を参照のこと。
外来では2時間投与して利尿が得られなければ、入院を検討する。 近年はORSにて治療を行うことも多い。ソリタT3顆粒などは電解質のバランスは非常に良いが味が悪く扱いにくい。アクアライトやアクアバランスはORSの中では比較的味が良いとされている。ボカリスエット小児用も治療に用いることができる。大人用のポカリスエットならば水で薄めて用いる。但しポカリスエットで治療する場合は電解質の補充は少量になることに留意する。食事は食物繊維が多いものは避ける方がよいとされている。具体的にはうどん、トースト、じゃがいも、里芋、豆腐、煮込んだ野菜(特ににんじん、かぼちゃが栄養、消化の面でバランスがよい)、少量ずつならばリンゴ、バナナ、白桃などが好ましいとされている。嘔気がある場合は嘔気が治まった時点で少量(目安として50ml)ずつ頻回に水分を与える。感染症が原因と考えられる下痢の場合は原則として、下痢止めは用いない、特に下痢止めは6カ月未満では禁忌、2歳未満でも原則禁忌である。ロペミンを用いる場合は0.04~0.08/Kg/day 分3で日数は少なめで行う。ビオフェルミンやラックビーといった整腸剤を用いることが多い。食中毒のエピソードなど細菌性の下痢が強く疑われる場合は抗菌薬の使用を検討する。証があえば漢方薬の使用も効果的である。五苓散(ごれいさん)などがよく用いられる。
五苓散は白湯に溶かし電子レンジで沸騰させ冷まして服用する。まれに注腸することもある。
